中小企業者等の試験研究費の特別控除

2017/4/16

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第20号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

 今日はこの春最後になるだろう花見散策に出かけました。

いやぁ、とても暑かったです。ホントに。

服装を間違えてしまいまいました。ジャケットを着て出かけたのですが、道中はずっと脱いで腕に掛けていましたから。昼間は半袖が正解でしたね。

 

外国人の観光客がとても多かったです。撮影スポットなんて、回りの100人中、日本人は10人もいなかったと思います。

 

僕が小学生くらいの時には、外国人が数人いただけで、「外人だ、外人だ」って物珍しく思っていましたから、ずいぶんと時代は変わりましたね。

 

僕は、今の多くの外国人が日本を観光している状態を嬉しく思います。もっとたくさんの外国人に日本を体験してもらいたいですね。

 

 

 

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さて、前回、前々回で「特別試験研究費の特別控除」及び「試験研究費の総額に係る特別控除」についてお話ししました。

今回は、中小企業者等の試験研究費の特別控除についてお話しします。

 

今回の中小企業者等の試験研究費の特別控除については、前回の試験研究費の総額に係る特別控除との選択適用になりますが、控除率が明らかに今回の特別控除の方が有利となるので、中小企業者等の方は実務上は今回の特別控除の方を選択すると良いですね。

 

 

中小企業者等

 

法人税法では、この“中小企業者等”という用語がよく登場し、中小企業者等に限定した優遇規定が数多くあります。

 

中小企業者等とは、次のいずれかの法人をいいます。

 

・資本金又は出資の金額が1億円以下の法人

 

・資本金又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員数が1000人以下の法人

 

農業協同組合

 

但し、次の法人は、上記に該当しても中小企業者等に該当しません。

 

・大規模法人(資本金若しくは出資の金額が1億円超の法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する使用人の数が1000人を超える法人のことをいう。)に発行済株式又は出資の総数等の3分の2以上を所有されている法人

 

・2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数等の3分の2以上を所有されている法人

 

つまり、見かけ上の会社の規模は中小であっても、大企業の子会社などのように、実質的には大企業の一事業部門と考えられるような企業については、優遇規定は必要ないでしょう、ということです。

 

 

  中小企業者等の試験研究費の特別控除

 

中小企業者等で青色申告書を提出するものの各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合には、その法人のその事業年度の所得に対する調整前法人税額から次の計算式で計算した特別控除額を控除します。

 

<計算式>

 

(1)先ずは、税額控除限度額を計算します。

 

特別試験研究費以外の試験研究費の額 × 控除率(※) = 税額控除限度額

 

控除率は、12%~17%で、増減試験研究費割合によって、次のように異なります。

 

・増減試験研究費割合が5%超の場合

  控除率 : 12% + (増減試験研究費割合-5%) × 0.3

 

・増減試験研究費割合が5%以下の場合

  一律12%

 

増減試験研究費割合とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を減算した金額の当該比較試験研究費に対する割合をいいます。

 

比較試験研究費とは、前3年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額をいいます。

 

 

 

(2)次に、税額基準額を計算します。

 

調整前の法人税額 × 25% = 税額基準額

(ただし、増減試験研究費割合が5%超の場合には、10%の上乗せ規定があります。)

 

 

(3)最後に、税額控除限度額と税額基準額を比較して、いずれか少ない金額が特別控除額になります。

 

 

 

平成29年度の税制改正

 

上記の控除率は、平成29年4月から平成30年度末までの時限措置になります。

改正前は試験研究費割合に応じて12%の控除率でしたが、12%~17%に改正されました。平成30年4月からは恒久措置の一律12%に戻ります。

 

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ

 

 

試験研究費の総額に係る特別控除

2017/4/14

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第19

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

今日は職場で「お花見昼食会」をしました。

 

僕の職場では、毎年この時期になると、職場の駐車場にブルーシートを敷いて座り、駐車場周辺の桜を見ながら、皆で輪になって、“特製仕出し弁当”を愉しむ習慣があります。

 

今日は暑いくらいで、じりじりと日焼けするような日差しでしたが、時間的に1時間足らずのお花見昼食会としては、今週1週間の中ではベストな日取りでした。

 

対極的に去年のお花見昼食会が思い出されます。ほとんど散りかけの桜の花びらが舞う中で、皆が寒さに震えながら、紙コップが突風で飛ばされないように気を使い、黙々と弁当を食べていたことを思い出します。

 

僕にとっては、去年も今年もどちらも思い出に残る楽しい昼食会です。

  

 

  

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さて、前回は「特別試験研究費の特別控除」についてお話ししました。「特別試験研究費の特別控除」は、「試験研究費の総額に係る特別控除」又は「中小企業者等の試験研究費の特別控除」とは別に、優先して特別控除が受けられる制度となっています。

 

今回は、試験研究費の総額に係る特別控除についてお話しします。

 

 

 試験研究費の総額に係る特別控除

 

青色申告書を提出する法人の各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合には、その法人のその事業年度の所得に対する調整前法人税額から次の計算式で計算した特別控除額を控除します。

 

<計算式>

 

(1)先ずは、税額控除限度額を計算します。

 

 特別試験研究費”以外”の試験研究費の額 × 控除率(※) = 税額控除限度額

 

 ※控除率は、6%~14%で、増減試験研究費割合によって次のように異なります。

 

・増減試験研究費割合が5%超の場合

  控除率 : 9% + (増減試験研究費割合-5%) × 0.3

・増減試験研究費割合が-25%以上5%以下の場合

  控除率 : 9% - (5%-増減試験研究費割合) × 0.1

・増減試験研究費割合が-25%未満の場合

  一律6

 ・設立事業年度である場合又は比較試験研究費の額がゼロである場合

  一律8.5

 

増減試験研究費割合とは、試験研究費の額から比較試験研究費の額を減算した金額の当該比較試験研究費に対する割合です。

 

比較試験研究費とは、前3年以内に開始した各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額を平均した額です。

 

 

 

(2)次に、税額基準額を計算します。

 

 調整前の法人税額 × 25% = 税額基準額

 

 

(3)最後に、税額控除限度額と税額基準額を比較して、いずれか少ない金額を特別控除額とします。

 

 

 

平成29年度の税制改正

 

上記の控除率は、平成294月から平成30年度末までの時限措置になります。

改正前は試験研究費割合に応じて8%~10%の控除率でしたが、6%~14%に改正されました。

 

 

国は、試験研究について積極的な企業とそれ以外の企業との差別化を税制面において図っているようですね。

 

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ

 

 

特別試験研究費の特別控除

2017/4/11

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第18号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

僕はサラリーマンとして会社勤めをしており、これまで主に会計、税務、資金の仕事で経験を積んできました。また、自分の仕事に関する知的好奇心が高まった結果、仕事をしながら受験勉強をして税理士の資格も取得しました。

 

このブログでは、僕が仕事で得た知識や税理士の勉強で得た知識の中から、僕自身に関心があるもの、そして皆様のお役に立てると思うものを、できるだけシンプルに、手短に紹介してまいりたいと思います。

 

サラッと読み流していただいて、「そう言えば、さくさがあんなこと言ってたよね。」みたいな感じで、何かの拍子にふと思い出していただければ嬉しいです。

 

 

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今日は満月の日ですね。

 

朝から夕方までは横殴りの雨が降っていました。今は雨は止んでいますが、雲がかかっていてお月様は見えません。

 

しかし満月の日です。

 

職場において、僕は言葉を選んで慎重に会話をしていましたが、あちらこちらでは言葉のつばぜり合いが勃発していました。

 

やはり要注意なのですね。

 

 

 

さて、本日は試験研究費の特別控除の中から、「特別試験研究費の特別控除」についてお話します。特別試験研究費の特別控除制度は、「試験研究費の総額に係る特別控除」又は「中小企業者等の試験研究費の特別控除」とは別に、これらに優先して特別控除が受けられる制度となっています。

 

 

 

特別試験研究費の特別控除

 

青色申告書を提出する法人の各事業年度において、その事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合には、その法人のその事業年度所得に対する調整前法人税額から次の計算式で計算した特別控除額を控除します。

 

<計算式>

 

先ずは、税額控除限度額を計算します。

 

①特別試験研究機関等に係る特別試験研究費 × 30%

②上記以外の特別試験研究費 × 20%

① + ② = 税額控除限度額

 

 

次に、税額基準額を計算します。

 

調整前の法人税額 × 5% = 税額基準額

 

 

最後に、税額控除限度額と税額基準額を比較して、いずれか少ない金額が特別控除額になります。

 

 

 

特別試験研究費とは

 

では、特別試験研究費とはどのような試験研究費なのでしょうか。

 

特別試験研究費とは、試験研究費のうち次のものをいいます。

 

・国の試験研究機関、国立研究開発法人、大学又は他の者(25%以上の資本関係や支配関係がある者等を除きます。)と共同して行う試験研究で、契約又は協定において、役割分担、費用の額及びその明細、成果の帰属及びその公表等に関する事項が定められているもの

 

・国の試験研究機関、大学又は一定の特定中小企業者に委託する試験研究

 

・一定の特定中小企業者から知的財産権の設定又は許諾を受けて実施する試験研究

 

・希少疾病医薬品等に関する試験研究 など

 

 

 

試験研究費用の30%もの額が控除される特別試験研究費の額は、やはりそれなりに”しっかり”とした試験研究であり、ハードルは高そうですね。

 

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ

 

試験研究を行った場合

2017/4/9

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第17号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

僕はサラリーマンとして会社勤めをしており、これまで主に会計、税務、資金の仕事で経験を積んできました。また、自分の仕事に関する知的好奇心が高まった結果、仕事をしながら受験勉強をして税理士の資格も取得しました。

 

このブログでは、僕が仕事で得た知識や税理士の勉強で得た知識の中から、僕自身に関心があるもの、そして皆様のお役に立てると思うものを、できるだけシンプルに、手短に紹介してまいりたいと思います。

 

サラッと読み流していただいて、「そう言えば、さくさがあんなこと言ってたよね。」みたいな感じで、何かの拍子にふと思い出していただければ嬉しいです。

 

 

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僕の職場に関係することですが、今度、とある大学の研究室と連携して共同研究開発を行うこととなりました。

 

詳しい内容は記載できませんが、現在市場で使われている製品の素材を応用して新たな分野で活用できないか、といったことです。

 

大学側には研究に必要な費用を会社から支払うことになるのですが、この費用は法人税法で特別な取り扱いがあります。

 

 

 

試験研究費の特別控除

 

 

法人が、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する費用、或いは、新サービスの開発のための費用を支出した場合には、一定の金額を法人税額から控除することが出来ます。これを試験研究費の特別控除といいます。

 

 

試験研究費の特別控除には、幾つかの種類があります。

 

・特別試験研究費の特別控除

 

・試験研究費の総額に係る特別控除

 

・中小企業者等の試験研究費の特別控除

 

・試験研究費の増加に係る特別控除など

 

があります。

 

 

今回の大学との共同研究開発にかかる費用は、法人税法上の試験研究費に該当するのですが、まず今回は試験研究費の範囲についてお話しします。

 

 

試験研究費の範囲

 

 

試験研究費の特別控除の対象となる試験研究費は、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する費用、或いは、新サービスの開発のための費用で、”損金の額に算入されるもの”をいい、具体的には次のようなものが該当します。

 

 

・原材料費

 

・人件費(但し、専門的な知識をもって試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限ります。)

 

・経費

 

・委託試験研究費

 

・試験研究の用に供する固定資産の減価償却

 

・試験研究の用に供する固定資産の除却損(臨時的なもの等を除きます。)

 

 

損金の額に算入されるものとなっていますので、棚卸資産として計上すべきものや、減価償却超過額などは該当しません。この場合には、一旦加算留保して、翌事業年度以降に減算した金額を試験研究費として認識することになります。

 

 

長くなりますので、今後に続けることにします。

 

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ

 

どのような目的税を導入したいですか?

2017/4/6

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第16号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

僕はサラリーマンとして会社勤めをしており、これまで主に会計、税務、資金の仕事で経験を積んできました。また、自分の仕事に関する知的好奇心が高まった結果、仕事をしながら受験勉強をして税理士の資格も取得しました。

 

このブログでは、僕が仕事で得た知識や税理士の勉強で得た知識の中から、僕自身に関心があるもの、そして皆様のお役に立てると思うものを、できるだけシンプルに、手短に紹介してまいりたいと思います。

 

サラッと読み流していただいて、「そう言えば、さくさがあんなこと言ってたよね。」みたいな感じで、何かの拍子にふと思い出していただければ嬉しいです。

 

 

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宿泊税 

 

今年から大阪府にも宿泊税が導入されていますが、7月1日からはホテル、旅館だけではなく、簡易宿所、民泊にも導入を拡大することになりました。

 

大阪府は、2002年に導入した東京都に続いて2番目に宿泊税を導入した地方自治体です。

 

宿泊税の税率は、宿泊料金によって異なっています。

 

宿泊料金(素泊まり料金+素泊まり料金にかかるサービス料)別の宿泊税は次のとおりです。      

 

・1万円以上1万5千円未満のもので 100円

・1万5千円以上2万円未満のもので 200円

・2万円以上のもので 300円

 (1万円未満 非課税)

 

 

東京都は、1万5千円以上はすべて200円の二段階になっているのに対して、大阪府はこのように三段階になっています。

 

 

個人的には負担は決して高くないのですが、大阪府はこの宿泊税で年間約11億円もの税収を見込んでいます。徴収のためにかかる大阪府の費用が66百万円なので、こういった条例が施行されると結構な”儲け話”になりますよね。

 

ところで、この宿泊税なのですが、地方税法に定める「法定外目的税」の一つなのです。

 

 

法定外目的税とは

 

法定外目的税とは、地方税法に定めのある税目以外の税目の地方税で、目的税であるものをいいます。

 

そして、地方税法上の規定では、地方自治体が法定外目的税を新設、変更しようとする場合は、あらかじめ総務大臣に協議しその同意を得なければならないとされています。

 

総務大臣の同意といっても、

 

国税又は他の地方税課税標準を同じくし、かつ、住民の負担が著しく過重となること

 

・地方団体間における物の流通に重大な障害を与えること

 

・国の経済施策に照らして適当でないこと

 

以上のいずれかに該当する場合を除いて、総務大臣は同意を与えなければならないこととされています。(地方税法733条)

 

 

 

過去に総務大臣の同意が得られて導入された法定外目的税には、

 

山梨県富士河口湖町の遊漁税

 

岐阜県の乗鞍環境保全

 

などがあります。

 

なるほど。。。

 

環境や景観を維持する目的の税金ですね。

 

 

 

それならば、徴税方法には一工夫が必要かもしれませんが、

 

熊野古道保全

 

・琵琶湖ブラックバス釣税

 

石垣島入島税

 

などはいかがでしょうか。

 

 

皆さんならどのような目的税を思いつきますか?

 

自治体に守ってほしい、守りたいものは何ですか?

 

 

  

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ

 

宗教法人の優遇税制について思うこと

2017/4/4

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第15号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

僕はサラリーマンとして会社勤めをしており、これまで主に会計、税務、資金の仕事で経験を積んできました。また、自分の仕事に関する知的好奇心が高まった結果、仕事をしながら受験勉強をして税理士の資格も取得しました。

 

このブログでは、僕が仕事で得た知識や税理士の勉強で得た知識の中から、僕自身に関心があるもの、そして皆様のお役に立てると思うものを、できるだけシンプルに、手短に紹介してまいりたいと思います。

 

サラッと読み流していただいて、「そう言えば、さくさがあんなこと言ってたよね。」みたいな感じで、何かの拍子にふと思い出していただければ嬉しいです。

 

 

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今回も引き続き、宗教法人の課税関係についてお話します。

 

前回までの話では、宗教法人は収益事業についてのみ法人税が課税されるということでしたね。

 

また、消費税に関しては、寄付とか贈与とかのように対価性がない場合には、資産の譲渡等の反対給付ではないので、消費税の課税対象とはならないということでしたね。

 

 

逆に一般法人は、その行うすべての取引が法人税の課税取引となりますし、消費税についても、ほぼ全ての取引が事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供と考えられますので、宗教法人は一般法人とは違い税制面で優遇されているということですね。

 

 

そこで今回は、他にも幾つもある宗教法人の優遇税制についてお話します。

 

 

みなし寄付金

 

 宗教法人は、収益事業で得た所得金額の20%までを法人税課税されないまま、収益事業以外の事業に寄付金として支出することができます。これを「みなし寄付金」といいます。

 

一般法人では、特定公益増進法人に対する寄付金の損金算入限度額が設けられています。細かな計算式でもありケースバイケースでもありますが、損金に算入される寄付金の額は宗教法人の半分にも満たないケースが多いと考えられます。

 

もっとも余談ですが、学校法人は宗教法人よりも更に優遇されていて、所得金額の50%又は年200万円のいずれか多い金額までみなし寄付金が認められています。

 

 

法人税

      

一般法人の法人税率は23.4%です。(中小法人の年800万円以下の所得金額に対しては15%です。)

 

これに対して、宗教法人法人税率は19%と低い税率となっています。(年800万円以下の所得金額に対しては15%であり、ここは一般の中小法人と同じ税率です。)

 

 

不動産関係の税金は非課税

 

宗教法人が宗教活動を行うと認められた場合には、その活動のために取得する不動産にかかる登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税が非課税となります。

 

 

 

 

 

 

これらの優遇税制を廃止又は縮小したほうが良いのではないか、といった議論もあるようで、当然のこととして宗教法人を隠れ蓑にした行き過ぎた節税はもってのほかですが、僕は近所の神社の“氏子総代”として奉仕活動を行っていることもあり、これらの優遇税制には理解があります。

 

近所の神社においては、年間を通じて様々なお祭りを催したり、お祭りの際には参拝者の方々に甘酒やきつねうどんを振舞ったり、清掃活動を行ったりして、一種の地域のコミュニティの場、お年寄りから子どもたちまで幅広い年齢層の方々の集う場が提供されております。そこでは学校では教わらない教室の授業から離れたところで人間教育の場が形成されています。こういった場があることにより、地域の安全の維持にも一役買っており、また、豊かな笑顔のあふれる地域を成り立たせているのだと思っています。

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ

 

宗教法人の消費税

2017/4/1

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第14号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

僕はサラリーマンとして会社勤めをしており、これまで主に会計、税務、資金の仕事で経験を積んできました。また、自分の仕事に関する知的好奇心が高まった結果、仕事をしながら受験勉強をして税理士の資格も取得しました。

 

このブログでは、僕が仕事で得た知識や税理士の勉強で得た知識の中から、僕自身に関心があるもの、そして皆様のお役に立てると思うものを、できるだけシンプルに、手短に紹介してまいりたいと思います。

 

サラッと読み流していただいて、「そう言えば、さくさがあんなこと言ってたよね。」みたいな感じで、何かの拍子にふと思い出していただければ嬉しいです。

 

 

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前回は宗教法人法人税の課税関係についてお話しました。

 

今回は、消費税についてお話したいと思います。

 

 

基本的な内容ですが、

 

消費税の税率は8%であることを皆さんご存知だと思います。

 

そして、消費税は、国税である消費税6.3%と、地方税である地方消費税1.7%の合計で8%となっている税金であることもご存知ですよね。

 

ですから、消費税及び地方消費税を合わせて、消費税“等”と表現されるのが本来的には正解なのです。

 

 

また、消費税の課税対象は、国内において事業者が行った資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいいます。)となっています。(輸入取引についても消費税が課税されますが今回は割愛しますね。)

 

 

 

 

宗教法人の消費税

 

国内で事業者が行った資産の譲渡等には消費税が課税されますので、宗教法人も免税事業者に該当しない限り納税義務者となります。

 

このように、国内で事業者が行った資産の譲渡等には消費税が課税されますので、法人税のところでお話ししました収益事業会計とか収益事業以外の会計とかの区分は原則として関係なくなります。

 

法人税とは違うのですね。

 

 

消費税は、課税対象となる取引であれば課税されるのです。

 

 

その課税対象となるかどうかの判断は、事業として行われる行為に“対価性”があるかどうかで判断します。

 

つまり、宗教法人が金品を受け取ったとしても、信者さんなどの相手方に資産の譲渡等を行った反対給付としての性質があるかどうかで判断するということです。

 

寄付とか贈与とかのように対価性がない場合には、資産の譲渡等の反対給付ではないので消費税の課税対象とはなりません。

 

 

 

その点に注意しながら、次に、宗教法人が行う主な事業が消費税の課税対象となるかどうかを具体的に見ていきますね。

 

 

宗教法人の行う事業が課税対象となるかどうか

 

宗教法人の行う主な事業別に課税対象となるかどうかを見ていきます。

 

お布施、お賽銭、玉串料など・・・不課税

 

お守り、おみくじ、お札などの販売・・・不課税

 

書籍、講和集、写真集、はがきなどの販売・・・課税

 

線香、ろうそくなどの販売・・・課税

 

会館、駐車場の貸付・・・課税

 

墓地の貸付の際の永代使用料・・・不課税(土地を貸す場合は非課税ですが、消費税がかからないという点では同じです。)

 

墓石工事料・・・課税

 

墓地の管理料・・・課税

 

結婚式等の費用・・・宗教的な儀式の部分は不課税、披露宴での飲食や衣装代は課税

 

参拝料、拝観料・・・不課税

 

 

以上の通りですが、

 

対価性があるのか、又はないのかで都度判断すれば、一つ一つ覚えたりしなくても、なんとなく判りますよね。

 

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ

 

宗教法人の収益事業

2017/3/30

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第13号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

僕はサラリーマンとして会社勤めをしており、これまで主に会計、税務、資金の仕事で経験を積んできました。また、自分の仕事に関する知的好奇心が高まった結果、仕事をしながら受験勉強をして税理士の資格も取得しました。

 

このブログでは、僕が仕事で得た知識や税理士の勉強で得た知識の中から、僕自身に関心があるもの、そして皆様のお役に立てると思うものを、できるだけシンプルに、手短に紹介してまいりたいと思います。

 

サラッと読み流していただいて、「そう言えば、さくさがあんなこと言ってたよね。」みたいな感じで、何かの拍子にふと思い出していただければ嬉しいです。

 

 

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先日は、僕が近所の神社の氏子総代をしている話をしました。

 

神社で収益事業を行った場合に、その収益事業から生じた所得について法人税が課税されるので、帳簿を神社会計(収益事業以外)と収益事業会計に区分する必要があるということでしたね。

 

 

では、神社のような宗教法人の収益事業には、一体どのようなものが該当するのかをお話ししたいと思います。

 

 

 

宗教法人が収益事業を行う場合には法人税が課税されますが、この場合の収益事業は全部で34種類あり、継続して事業場を設けて行う事業とされています。また、これらの事業に付随して行われる行為も収益事業に該当します。

 

 

34種類の事業のうち、僕なりの視点で

 

「こういうの、ありそうだよね。」

 

と思うものを幾つか挙げてみます。

 

・物品販売業

 

・写真業

 

・物品貸付業

 

・料理・飲食業

 

・不動産貸付業

 

・駐車場業

 

・出版業

 

などなど

 

他にもたくさんありまして、

 

例えば、問屋業とか、浴場業とか、鉱業、土石採取業などあるのですが、

 

僕が従来持っていたイメージから外れておりますので、「こんなのもあるよ」だけにしておきます。

 

うーーーん、、、でも、気になります。

 

浴場業って、たぶん、神社の土地に温泉が湧いたから浴場として貸し出すことになったとか、

 

土石採取業って、お寺のお坊さんが墓石を採石場から採取しているとかでしょうね、

 

きっと。

 

コレはコレで、想像力が高まりそうで、楽しいですね。

 

 

さて、

 

宗教法人の行う収益事業について、簡単に中身を見ていきたいと思います。

 

・物品販売業

  まずそもそも、お賽銭やお供え、お布施、祈祷料などは収益事業には該当しません。そして、お守り、おみくじ、お札などの販売のように、その仕入値と売値との差額は儲けというよりは実質的には喜捨金だろうと思われますので、これも収益事業には該当しません。しかし、マスコットとコラボのキーホルダーやマグネットなどのように普通にお土産もの屋に売っているようなものならば、収益事業の売り上げになります。

 

・写真業

 結婚式のときの新郎新婦さんの晴れ姿を撮影するなど、プロのカメラマンの方が撮影しているころを何度か見かけたことがあります。宗教法人がこういった写真撮影をプロデュースするなどの場合は収益事業に該当します。

 

・物品貸付業

 きれいな恰好で写真を撮りたい、きれいな衣装を着てみたいなどで、服を貸し出すこともあるかもしれません。こういった場合は収益事業に該当します。

 

・料理・飲食業

 参道などには出店が並んでいることがありますね。わざわざ露店まで出していなくても、郷土料理屋やそば屋などで料理を振舞ったり、茶道のお茶を振舞ったりするところもあることでしょう。こういった場合には収益事業に該当します。

 

・不動産貸付業、駐車場業

 これは頻繁にありそうですね。境内に駐車場を設けているところも多いと思います。有料駐車場ならば収益事業に該当します。

 

・出版業

 宗教の歴史書、所蔵品の写真集など、出版物として販売を行っているところもありますよね。この場合には収益事業に該当します。

 

 

このようにして、収益事業に該当することとなった場合には、その収益は益金の額に算入されますが、そこから損金の額を控除した金額が所得の金額となり、課税されていきます。

 

通則を見ておきます。

 

法人税法第二十二条 (各事業年度の所得の金額の計算)

 「内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。」

 

とあります。

 

 

そこで、損金の額についても少しだけ触れておきます。

 

収益事業の益金の額から控除する損金の額は、売上原価の額、販売費及び一般管理費の額、そして損失の額となります。

 

ここで、面倒くさいのが一般管理費になります。

 

電気代、電話代、水道代などは、収益事業だけでなく、その宗教法人全体で幾ら、となっていることが考えられますよね。

 

この場合には、使用面積などの合理的な基準で、収益事業と収益事業以外の事業に配分することになります。社用車の減価償却費なども合理的な基準で配分します。

 

この合理的な基準というのは、説明ができる範囲で、ある程度なら“エイヤ”でも大丈夫でしょう。

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ