宗教法人の収益事業

2017/3/30

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第13号

 

ご覧いただきありがとうございます。

 

僕はサラリーマンとして会社勤めをしており、これまで主に会計、税務、資金の仕事で経験を積んできました。また、自分の仕事に関する知的好奇心が高まった結果、仕事をしながら受験勉強をして税理士の資格も取得しました。

 

このブログでは、僕が仕事で得た知識や税理士の勉強で得た知識の中から、僕自身に関心があるもの、そして皆様のお役に立てると思うものを、できるだけシンプルに、手短に紹介してまいりたいと思います。

 

サラッと読み流していただいて、「そう言えば、さくさがあんなこと言ってたよね。」みたいな感じで、何かの拍子にふと思い出していただければ嬉しいです。

 

 

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先日は、僕が近所の神社の氏子総代をしている話をしました。

 

神社で収益事業を行った場合に、その収益事業から生じた所得について法人税が課税されるので、帳簿を神社会計(収益事業以外)と収益事業会計に区分する必要があるということでしたね。

 

 

では、神社のような宗教法人の収益事業には、一体どのようなものが該当するのかをお話ししたいと思います。

 

 

 

宗教法人が収益事業を行う場合には法人税が課税されますが、この場合の収益事業は全部で34種類あり、継続して事業場を設けて行う事業とされています。また、これらの事業に付随して行われる行為も収益事業に該当します。

 

 

34種類の事業のうち、僕なりの視点で

 

「こういうの、ありそうだよね。」

 

と思うものを幾つか挙げてみます。

 

・物品販売業

 

・写真業

 

・物品貸付業

 

・料理・飲食業

 

・不動産貸付業

 

・駐車場業

 

・出版業

 

などなど

 

他にもたくさんありまして、

 

例えば、問屋業とか、浴場業とか、鉱業、土石採取業などあるのですが、

 

僕が従来持っていたイメージから外れておりますので、「こんなのもあるよ」だけにしておきます。

 

うーーーん、、、でも、気になります。

 

浴場業って、たぶん、神社の土地に温泉が湧いたから浴場として貸し出すことになったとか、

 

土石採取業って、お寺のお坊さんが墓石を採石場から採取しているとかでしょうね、

 

きっと。

 

コレはコレで、想像力が高まりそうで、楽しいですね。

 

 

さて、

 

宗教法人の行う収益事業について、簡単に中身を見ていきたいと思います。

 

・物品販売業

  まずそもそも、お賽銭やお供え、お布施、祈祷料などは収益事業には該当しません。そして、お守り、おみくじ、お札などの販売のように、その仕入値と売値との差額は儲けというよりは実質的には喜捨金だろうと思われますので、これも収益事業には該当しません。しかし、マスコットとコラボのキーホルダーやマグネットなどのように普通にお土産もの屋に売っているようなものならば、収益事業の売り上げになります。

 

・写真業

 結婚式のときの新郎新婦さんの晴れ姿を撮影するなど、プロのカメラマンの方が撮影しているころを何度か見かけたことがあります。宗教法人がこういった写真撮影をプロデュースするなどの場合は収益事業に該当します。

 

・物品貸付業

 きれいな恰好で写真を撮りたい、きれいな衣装を着てみたいなどで、服を貸し出すこともあるかもしれません。こういった場合は収益事業に該当します。

 

・料理・飲食業

 参道などには出店が並んでいることがありますね。わざわざ露店まで出していなくても、郷土料理屋やそば屋などで料理を振舞ったり、茶道のお茶を振舞ったりするところもあることでしょう。こういった場合には収益事業に該当します。

 

・不動産貸付業、駐車場業

 これは頻繁にありそうですね。境内に駐車場を設けているところも多いと思います。有料駐車場ならば収益事業に該当します。

 

・出版業

 宗教の歴史書、所蔵品の写真集など、出版物として販売を行っているところもありますよね。この場合には収益事業に該当します。

 

 

このようにして、収益事業に該当することとなった場合には、その収益は益金の額に算入されますが、そこから損金の額を控除した金額が所得の金額となり、課税されていきます。

 

通則を見ておきます。

 

法人税法第二十二条 (各事業年度の所得の金額の計算)

 「内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。」

 

とあります。

 

 

そこで、損金の額についても少しだけ触れておきます。

 

収益事業の益金の額から控除する損金の額は、売上原価の額、販売費及び一般管理費の額、そして損失の額となります。

 

ここで、面倒くさいのが一般管理費になります。

 

電気代、電話代、水道代などは、収益事業だけでなく、その宗教法人全体で幾ら、となっていることが考えられますよね。

 

この場合には、使用面積などの合理的な基準で、収益事業と収益事業以外の事業に配分することになります。社用車の減価償却費なども合理的な基準で配分します。

 

この合理的な基準というのは、説明ができる範囲で、ある程度なら“エイヤ”でも大丈夫でしょう。

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

皆様の幸せを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ