住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第37号

 

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前回は住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税の特例をお話ししました。直系尊属から直系卑属である推定相続人又は孫への相続時精算課税贈与について、直系尊属の年齢要件が緩和されて60歳未満であっても相続時精算課税が適用となることや、最高で1200万円の非課税枠が加算されて合計で3700万円までが贈与時に課税されずに住宅取得のための金銭を贈与できるということでした。

前回は、以上のように相続時精算課税の適用という形でお話ししましたが、何も相続時精算課税を適用しなくても、住宅取得等資金の贈与については、単独で非課税規定を適用することができます。この場合、非課税枠を超える部分の贈与については暦年課税とすることとなります。

今回も、贈与財産が住宅の新築や取得、増改築のための資金である場合の特例についてお話しします。

 

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住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

 

父母又は祖父母などの直系尊属からの贈与により、その年1月1日において20歳以上である直系卑属が、自己の居住の用に供する家屋の新築、取得、又は増改築等の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)を取得した場合で一定の要件に該当するときは、次の非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。

 

≪非課税限度額≫

平成29年度の非課税限度額は、省エネ等住宅用の取得等資金であれば1200万円、それ以外の住宅用であれば700万円です。将来的に消費税が増税されて8%から10%になると、更に非課税枠が増枠される予定です。

 

≪受贈者の要件≫

前回の相続時精算課税の特例とほぼ同じで次の通りです。

・贈与者の直系卑属であること

・贈与年の1月1日で20歳以上であること

・自己の配偶者や親族などの特殊関係者から住宅の取得等をしないこと

・贈与年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて居住用家屋の新築、取得又は増改築を行うこと(受贈者の所有は共有でも可)

・贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると認められること(年末までに居住することが必要)

・合計所得金額が2000万円以下であること

・平成21年から平成26年分までの贈与税の申告で住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けていないこと

 

 

居住用家屋の新築、取得又は増改築等の要件

 

(1)新築又は取得の要件

・日本国内にある居住用家屋であること

・新築、又は取得の場合、登記上の面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ店舗併用住宅等の場合には家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること

 

なお、取得の場合には、次の“いずれかにも”該当すること

・建売新築の居住用住宅であること

・中古住宅は、取得の日前20年以内(耐火建築物なら25年以内)に建築されたものであること

・中古住宅は、地震に対する安全性基準に適合されると証明されたものであること

・中古住宅は、耐震改修を行うことについて都道府県知事などに申請し耐震改修工事が行われたことの証明がされたものであること

 

 (2)増改築の要件

・日本国内にある居住用家屋であること

・増改築後の登記上の面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ店舗併用住宅等の場合には家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること

・増改築工事は自己所有の居住用家屋に対して行われたもので、一定の工事証明がされたものであること

・増改築の工事費用が100万円以上であること

 

 

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用については、あくまでも“金銭”の贈与であることが前提です。有価証券、金の延べ棒などを贈与するのであれば、くれぐれも事前の換金をお忘れなく。

 

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ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

読者の皆様が世界で一番幸せになることを心よりお祈り申し上げます。

  

さくさ