個別評価貸倒引当金の繰入限度額(前ふり:盛り塩)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第86号

 

ご覧いただきありがとうございます。

このブログは、
税金の知識を得ることで安心して事業を行いたい個人事業者の方とその予備軍の方のためのブログです。

 

<前ふり>  


先日、友人から、

 

「そうなると思い込んだらうまくいった。」
「思い込んだ通りの方向に物事が進んだ。」

 

そんな話を聞いて、

 

ふと、

さくさの学生時代のアルバイトのことを思い出しました。

 

さくさはアルバイトでレストランのウエイターをしようと思いました。

 


イタリアンレストランでのアルバイトの採用面接


それは、さくさを採用するかどうかを決めるための面接でした。

 


「〇月〇日以降の出勤で大丈夫でしょうか。」

「シフトは〇〇〇な感じでお願いします。」

「最初の出勤日は何日にしましょうか。」

 

 

 さくさは最初から採用されたと“思い込んで”いたので、

そのようなことを口走っていた ”らしい” です。

 

さくさの話は、採用された後の“打ち合わせ”と化していました。

 

後日、採用面接をしてくれたマスターから聞いたのですが、

 

最初はさくさを採用することはない、と考えていたらしいのです。

なのに、さくさが採用されたと思い込んで、

その前提で話をしてくるものだから、

なんだか調子が狂ってしまって、

”ついつい” さくさを採用してしまったらしい。

 

マスターは、


「仕方がないから採用した。」

 

と言っていました。

 


“思い込み”

さくさは採用されたと“思い込んで”話(面接)を進めていたのでした。

 

 

そして、
そのマスターが、さくさに言ってくれたことがあります。

 

それは、

 

「さくさ君の盛り塩は効く。」

 

ということです。

 


そのイタリアンレストランは繁華街の真ん中にあって、営業時間も深夜から早朝までなので、

お店にとって好ましくないお客さんが来店することが度々ありました。

(実は、商売がレストランだけじゃなかった、むしろレストランは副業だった理由が大きいと思います。)

 

もめ事が発生することも多かったので、店には大男の外国人ガードマンがいたくらいです。

 


盛り塩は店先などでちょくちょく見かけますよね
店の入り口の両側にこんもりと塩が盛ってある光景

 


さくさは、盛り塩は、煩わしい問題が持ち込まれないようにして、品の良いお客さんに来店してもらうためにするものだと

 

“思い込んで”いました。

 


「さくさ君が盛り塩する日には、不思議ともめ事がなくなる。」

 

そのマスターから聞かされました。

 

 

さくさは、間もなく、

 

「盛り塩担当」

 

に任命されました。

 


“思い込み”から現実になることがあります。

さくさの経験上、これはとても大切なことだと思います。

 


  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

貸倒引当金には、個別評価の貸倒引当金と一括評価の貸倒引当金があります。


一括評価貸倒引当金については青色申告者で事業所得者に対する特有の優遇規定になっていますが、個別評価貸倒引当金は白色申告者についても適用がある規定になっています。

 

前回は個別評価貸倒引当金の概要について少しお話ししましたが、今回はその繰入限度額について触れておきたいと思います。

 

個別評価貸倒引当金の繰入限度額

 

言うまでもなく、現金商売や、前受金商売をするのが債権回収の面からは最適なのですが、

商売によっては、なかなかそうならない場合も多いですよね。

 

取引先(債務者)に次のような事由が生じてしまった場合には、

青色申告者に限らず白色申告者にあっても貸倒引当金の繰り入れが認められていますので、

ざっとご覧いただければと思います。

 

 

個別評価貸倒引当金の繰入限度額は、次の場合の区分によりそれぞれに定める金額となります。

 

1.弁済の猶予の場合


貸金等に係る債務者について、更生計画認可の決定、再生計画認可の決定、特別清算に係る協定の認可の決定その他これらに準ずる事由により、弁済を猶予される場合

 

・・・貸金等の額のうち、これらの事由の発生年の翌年1月1日から5年以内に弁済される金額以外の金額(抵当権等により担保される部分の金額は除きます。)

 

いわゆる“長期棚上げ”の基準です。


5年超の長期にわたる債権については取り立て不能になる可能性が高くなると考えられるために、このような規定になっているといえます。

 

 

2.取り立て見込のない場合


債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続していること等により、その一部に取り立て等の見込がないと認められる場合

 

・・・その一部の金額に相当する金額

 

いわゆる“実質基準”です。


債務超過の状態がおおむね1年以上継続し好転の見通しがないことや、災害が発生したこと又は経済事情が急変したこと等により、貸金の一部について実質的に回収が見込めない場合に適用される規定です。


健全な取引先であっても、災害等により事情が急変して、結果として債権回収が進まない場合が想定されているのでしょう。

 


3.形式的な事由が生じている場合


貸金等に係る債務者について、更生手続開始の申立て、再生手続開始の申立て、破産手続開始の申立て、特別清算開始の申立てその他これらに準ずる事由が生じた場合

 

・・・その貸金等の額(実質的に債権とみられない部分の金額及び担保権の実行等により取り立て等の見込があると認められる部分の金額を除きます。)の100分の50相当額

 

いわゆる“形式基準”です。


法的な手続きが伴っているため、客観性が高く、形式的に繰入が認められているのでしょう。

 


≪参考≫
個別評価貸倒引当金 本文

不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者が、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権で、その一部につき貸倒れその他一定の事由による損失が生じると見込まれるもののその損失の見込額として各年において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、その金額のうち、その年12月31日において計算した繰入限度額に達するまでの金額は、その者のその年分のこれらの所得の金額の計算上、必要経費に算入します。

 

レストラン, ワイン, メガネ, 提供, 夕食, 祝賀, ガラス, テーブル

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

読者の皆様が宇宙で一番幸せになることを心よりお祈り申し上げます。

 

さくさ