純損失の繰戻し還付の請求手続き(前ふり:自転車の女子高生)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第93号

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<前ふり>  


まだ夏が始まったくらいの頃だったかな

 

晴れの日の朝、

さくさが職場に向かう途中の出来事です。

 


”スッ” っと、さくさの目の前を、自転車に乗った女子高生が通り過ぎていきました。

 

朝早いのですが、

さくさは駅の近くに住んでいるので、通勤や通学の人をそれなりに多く見かけます。

 

1台の自転車に特に注目することはありません。

 


女子高生の乗った自転車が少し先の四つ角を左折して駅の方向に向かうのが、さくさの目の隅っこに映っていたくらいだと思います。

 

 

ガシャン

 


乾いた音に気が付いて、その音のした方向に目を向けると、


さっきまで目の隅っこに映っていた女子高生がいません。

 

 

あ、いた

 

 

四つ角にある電信柱の陰で、女子高生の自転車が転倒しています。

 


交通事故!?


ん?

 

相手方は、、、いない

 

一人で転倒かな?

 

 

とにかく助けが必要だろうと思って駆け寄りました。

 


転倒した原因はすぐにわかりました。

 

自転車のハンドルにぶら下げた体操服(だと思います)を入れたカバンが、

自転車の前輪とフロントフォークとの間に吸い込まれて、タイヤがロックされています。

 

 

急ブレーキするよりも、もっと一瞬で完全に停車するので、

自転車の後輪が宙に浮いて回転するような格好で転倒したのかもしれません。

 


左腕から血が出ています。

 

制服の白のブラウスがみるみるうちに赤く染まっていきます。

 

何とかしなければ。

 

病院は、こんなに朝早くにあいていません。

 

 

女子高生は狼狽しているものの、幸い、意識はしっかりしています。

 


「すいません」「全然大丈夫です」

 

そう言われても、

 

「それでは、じゃあ」


と立ち去ることも出来ません。

 

さくさは彼女の腕を伝ってポタポタと落ちてくる血を拭いたりしていましたが、

すぐにあきらめて、119番通報をしました。

 

 

サイレンが遠くから近づいてきます。

 


救急車が到着するまでの少しの時間

 

 

今思えば、


” 気の利いた会話 ”でもしてあげることが出来たら良かったのにな。

 

 

 


そして、つい最近、


その女子高生が同じ角を左折していくのを目にしました。

 


体操服のカバンは、ハンドルにぶら下げることなく、

自転車の”前かご”にキチンと収まっていました。

 


ヨシヨシ、良い子だ

 

気を付けていってらっしゃい

 


 ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

純損失の繰戻し還付の請求手続き

 

純損失の繰戻し還付を請求する場合には、その年分の青色申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対して、前年分の所得税の額を限度とする還付税額の還付請求を申告期限までに行うことが必要となります。

 

申告書と一緒に、「還付請求書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

 

 

なお、

納税地の所轄税務署長は、「還付請求書」の提出があった場合には、その請求について調査し、その請求をした者に対して所得税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する。

 

と規定されています。

 

規定上は、


調査がある、ということですね。

 

 

純損失の繰戻し還付請求をおこなうと、

実際に税務調査が行われるかどうかは、

その請求内容次第といったところでしょうかね。

 

国としては、おいそれと書面だけでは税金の還付に応じないというスタンスなのでしょう。


税法において、一定の”牽制” を行っているのでしょうね。

 

繰戻還付の請求をされる方は、調査の可能性も念頭に置いておくようにしてくださいね。

 

 

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ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

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さくさ

 

純損失の繰戻し還付(前ふり:人のせい)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第92

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<前ふり>  

 

さくさは友人から色々と相談されることがあるのですが、

友人の職場には、自身の正当性ばかりを主張する人がいて、困っているそうです。

 

 

「人のせいにしてはいけません」

さくさは小さいころ、親や先生に何度となく教えられてきました。


残念ながら、大人になってからも

仕事の場において、

ついつい口に出てしまいそうになる時があります。

 

例えば、

遅れた理由→ 部下の連絡が行き届いてなかったから(部下のせい)

 

この手の類については、

人のせいにしても、人のせいにしなくても

どっちでもいいくらいの

“レベルの低い”ものだと思います。

 

もちろん、この低いレベルのものであっても

人のせいにするのは良くありません。

 

 

人のせいにしそうになったら、

こちら側にも ”否” はなかったか、

ちょっとだけ考えてみる、

 

例えば、

・仕組みとして良くなかったか、

・教育が足りなかったか、

・声掛けにくいオーラが出ていなかったか、

などなど

 

100%人のせいにするのではなく

一歩引いて考えることが大切です。

 

 


「人のせいにしない」とは、

 

「責任回避の発言をしない」

 

ということです。

 


仕事の場においては、
「結果」に対する責任はとても重要です。

 


まさか、経営者が総会の席で、(又は金融機関への説明の中で)

 

業績が悪化した → 営業部長の努力が足りなかったから

資金繰りが困難になった → 経理部長の見通しが甘かったから

 

などと、絶対に口にしませんよね。

 

 

役職が上に行けば行くほど
人のせいにできなくなってきます。(普通は)

 

 

逆に言えば、
”人のせいにする人の役職を上げてはダメ” なのです。

 

 

経営者は、人のせいにしません。

(叱ることと、人のせいにすることは、全然別物です。)

 

 

 

「人のせいにしてはいけません」


小さいころ親や先生に教えてもらった

“当たり前のこと”をキチンと行っている人と、そうでない人

 


そういう目で、

人物を判断すると良いでしょうね。

 


 ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

純損失の繰戻し還付

 

青色申告者は、その年において生じた純損失の金額がある場合には、その申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対して、次の還付税額に相当する所得税(前年分の所得税の額を限度とします。)の還付を請求することができます。

 

還付税額


① から②を控除した金額


① その年の前年分の課税所得金額につき前年分の税率を適用して計算した所得税の額


② その年の前年分の課税所得金額からその純損失の金額の全部又は一部を控除した金額につき前年分の税率を適用して計算した所得税の額

 

なお、この規定は、前年分の所得税について青色申告書を提出し、

その年分の青色申告書を確定申告期限までに納税地の所轄税務署長までに提出した場合に限り適用されます。

 


ポイントは、


・前年も青色申告をしているということ


・還付は前年の所得税額を限度とするということ


・一定の手続きが必要ということ

 

この規定も、もちろん「青色申告者の特典」となります。

 

 


余談になりますが、

 


法人税にも「欠損金の繰戻しによる還付」という、よく似た制度があります。


現在は法人を解散等をした場合や、中小企業者等に限り、適用がされているだけで、


一般の青色申告法人については、ずいぶんと長い間(平成4年4月1日から平成30年3月31日まで)適用が停止された”まま”となっています。


実は、中小企業者等への適用についても、平成21年頃に解禁されたばかりのものです。


1件1件が多額になりがちな法人税においては、できる限り安定的に税収の確保を行いたい、また、還付による税収不足などを防ぎたいのでしょうね、きっと。

 

 

所得税の繰越控除には、他にも一定の特定居住用財産の譲渡損失に係るものの取り扱いがありますが、その取り扱いについては、また機会を設けてお話ししたいと思います。)

 

オフィス, 税, ビジネス, ファイナンス, ドキュメント, 会計士, 会計

 

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さくさ

 

  純損失の繰越控除(前ふり:毎日続けること)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第91

 

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<前ふり>  


お金を貯めることも、

 

勉強や習い事を上達させることも、

 

そして、

 

幸せになることも、

 

全てに共通しているのは、

 

続けることが大切であるということ

 

 

お金を貯めるときには、

例えば毎月一定額をコツコツと貯めておくとよい

 

勉強や習い事をするときには、

テスト直前になって慌てないように日々コツコツと勉強しておくとよい

 

そして、

 

幸せになるためには、

日頃我慢したものを一気に発散させるようなことはせず、

 

毎日笑顔になるとよい

 

 

効果があらわれるのは、

 

まとめて行った 100 のことよりも

 

毎日継続させた 1 の積み重ね

 

 

1日1日少しずつ

良い行いをすること

笑顔になることが

大切です

 

毎日少しずつ

 

「幸せとは習慣」なのかもしれませんね

 

 

 ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆ 

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

純損失の繰越控除

 

確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額(前年以前に控除されたもの、純損失の繰り戻しによる還付を受けるべき金額の計算の基礎となったものを除く)がある場合には、

次の区分に応じそれぞれの金額を、その申告書に係る年分の課税標準の計算上控除します。

 

・その純損失の金額が青色申告書を提出した年に生じたものである場合


----その純損失の金額


・その純損失の金額が青色申告書を提出した年以外の年に生じたものである場合


----その純損失の金額のうち変動所得の損失の金額及び被災事業用資産の損失の金額

 

 

純損失の金額は、発生年の翌年以後3年間にわたって繰り越して課税標準の計算上控除することができるという規定です。

 

ほぼ毎回お伝えしていることですが、

申告は青色申告にすることをお勧めします。

 

この規定も”ほとんど”は青色申告者の特典について書かれています。

 

”一部に”白色申告者についても繰越控除の対象となる損失の金額について記載がされていますが、


それは、変動所得についてや、被災事業用資産についての損失の金額に限定されています。

 

変動所得とは年々の変動の著しい所得のうち、一定のもの(漁獲、養殖、原稿、作曲、著作権使用料など)に限られたものですし、

 

被災事業用資産の損失の金額についても災害に関係する限られたものです。

 

変動所得についても、被災事業用資産についても、いずれも、不安定なものを救済する取り扱いと考えてよいものなのです。

 

だから、”例外的に”白色申告でも繰越控除が可能なのでしょう。

 

王道は、青色申告であるということに変わりはありません。

 

 

(繰越控除には、他にも一定の特定居住用財産の譲渡損失に係るものの取り扱いがありますが、その取り扱いについては、また機会を設けてお話ししたいと思います。)

 

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さくさ

 

純損失の金額の意義(前ふり:報・連・相の使い分け)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第90号

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<前ふり>  

 

皆さんはおそらく、

「報・連・相(ほうれんそう)」という言葉の内容をよくご存じだと思います。

 

特に、企業で働いていらっしゃる方は、

報・連・相の大切さを、

働き始めのころから教育されていることと思います。

 

さくさもずいぶん前に会社勤めを始めた頃には、

「報・連・相」や

「飲ミュニケーション」

などの大切さを教わりました。

 

 

最近では、飲ミュニケーションという言葉を聞くことはほぼ無くなりましたが(既に死語でしょうか?)、

 

“肌感覚”で、“一緒にお酒を飲んで意思疎通を図ることの大切さ”を理解されている方が、

たくさんいらっしゃると思います。

 

 

一方で、報・連・相は、

 

“肌感覚”で分かるというよりは、

“言葉や数字、写真など”を使って

意思疎通を行うものですよね。

 

 

報・連・相とは、「報告」、「連絡」、「相談」の頭文字をとったものですよね。

 

・報告

主に、上司からの指示などに対して、部下がその経過や結果を上司に知らせること

 

・連絡

上司、部下の区分なく、必要な情報を関係者に対して知らせること

 

・相談

部下から上司に対して、上司から部下に対して、もしくは同僚に対して、

判断に迷うことなどについて、アドバイスを求め、意見を聞くこと

 

 

大雑把ですが、報・連・相とは、大体こんな感じだと思います。

言わずもがな、ですよね。

 

 

でも、この報・連・相、

皆さんは場面・場面で、キッチリと「使い分け」が出来ているでしょうか?

 

単に報・連・相と一言で表現しても、

さくさは使い分けが必要だと思います。

 

 

・問題発生時の報連相


この場合に求められるのは、特に初動において重要で、まずは物事を正確に、私情や憶測を挟まずに、事実を淡々と伝えることです。

 

 

・改善のための報連相


この場合に求められるのは、周りの人に声を掛けて、意見や感想を正しく聞いて、情報を収集することです。自分だけの意見をもって、独善に走ってしまわないように注意することが必要です。“英知を集結”しなければなりません。

 

 

・成果を挙げるための報連相


会社や職場のトップの意向、リーダーの意向、キーマンの意向を正しく理解して進めていくことが大切です。成果を挙げるためには、途中経過もおろそかにしてはいけません。

 

 

・一般的な報連相


これは日常のコミュニケーションです。

特記は必要ないでしょう。

 

 

こんな感じです。

 

もちろん、人によっては、

もっとたくさんの使い分けをしていたり、

別の切り口で使い分けをされている方が

いらっしゃるかも知れませんね。

 

ひと工夫することが大切ということです。

 

 

 ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

前回は、青色申告者の特典とされる規定として、純損失の繰越控除と繰戻還付の概要についてお話ししました。

 

今回は、そもそも純損失の金額とは何かということで、

”純損失の意義”についてお話ししておきたいと思います。

 


純損失の金額の意義

 

純損失の金額とは、損益通算の対象となる損失の金額のうち、損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額をいいます。

 

ここで、損益通算とは、

黒字の所得と赤字の所得を相殺(通算)すること、と思って頂ければ結構です。

 

損益通算の対象となる所得は、

不動産所得、事業所得、山林所得、総合課税の譲渡所得に限られています。

 

純損失の金額とは、これらの所得の金額の計算上生じた損失の金額で、

その年中の黒字の所得の金額から控除しても控除しきれなかった部分の金額をいいます。

 

 

総合課税の不・事・山・譲の純損失の金額のほかに、

租税特別措置法では、マイホームに関係する規定として、

 

一定の特定居住用財産の譲渡損失に係るものの取り扱いが別途定められていますが、

それについてはまた機会を設けてお話ししたいと思います。

 

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さくさ

 

純損失の繰越控除及び繰戻し還付(前ふり:幸せの強権発動)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第89号

 

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<前ふり>  

 

フェイスブックなどを見ていると、
人それぞれニュースの捉え方が全然違うのだなぁ、

と感じることが何度もあります。


人によっては、楽しくなるような記事を目にして、気分が良くなっている。

他の人の楽しみをお互いに共有し合っています。

 

でも、


人によっては、怒りたくなるようなニュースばかり見つけては、

そのニュースに“皮肉正義”のコメントばかり書いています。

 


●楽しむ人もいれば、


■怒ったり、皮肉ったりする人もいます。

 

この違いを見ていると面白いですね。

 


しかもそれは、

人によってどちらか一方に習慣化、定着化していることが多いと感じられます。

 

まず、どのようなニュースを拾い上げるか、
そのスタート時点から明らかに違いが出ていますね。


人は無意識のレベルで、どのようなニュースに反応するかが、
ある程度決まっているのでしょうね。


そして、
それをどう感じるのか、
どう解釈するのかも。

 


自分の権限で、

楽しく感じることも、

又は、

腹立たしく感じることも

出来るのだったら、


さくさは “強権を発動” をして、

出来る限り、楽しく感じるようにしたいと思います。

 

もっとも、
様々な種類の感情を持つこと自体ある意味大切なことなので、
決して無理はしませんし、
どんな時でも笑っている、
なんてこと、さくさには出来ません。

 

でも、

楽しい、幸せだ、という解釈が出来るものなら、

さくさはそのように解釈したいと思っています。


それには、

ニュースを拾い上げる選択の段階からが

重要だと思います。

 


人生は、その解釈、その選択を積み重ねた方向に向かっていきます。

 

 

裏を返せば、腹立たしいニュースばかり拾い上げる人には、

腹立たしくなるような人生が待っています。


何だかコワイですね。汗

 



幸せは、

本人の解釈であり、

選択であり、

そして権限だと思います

 


 ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

青色申告者については、所得計算上の特典以外にも、純損失の取り扱いの特典、税額計算上の特典、手続き上の特典などがあります。

 

今回は、青色申告者の純損失の取り扱いの特典についてお話しします。

 

 

純損失の繰越控除及び繰戻し還付

 

所得税は、暦年課税方式を採用しているので、

暦年ごとに課税期間を区切って所得税を計算することを原則としており、

 

ある年において多額の損失が生じた場合においても、

何らの考慮をしないことが原則となっています。

 

しかし、暦年という単位でのみ所得税の計算を行うことは、

たまたま多額の損失が生じた年と多額の利益が生じた年とが異なる場合と、

同一年内において多額の損失と多額の利益が生じた場合とで、

大きく所得税額が異なる結果となってしまうことから、

次のような規定が設けられています。


純損失の繰越控除


青色申告者は、その年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額がある場合には、その純損失の金額は、申告を要件に、その年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除します。


この規定は、先に純損失が生じた年があった場合に、

その後3年以内の課税標準の計算上その損失額に相当する金額を

控除することができるというものです。

 

青色申告者については、純損失が生じた場合であっても、

翌年以降にその損失額を考慮して所得税が計算される仕組みになっています。

 

 

純損失の繰戻還付


青色申告者は、その年において生じた純損失の金額がある場合には、一定の手続きを要件に、これを前年に繰り戻して所得税の還付の請求をすることができます。

 

この規定は、前年に青色申告所得税の納税を済ませていたが、

その翌年に純損失の金額が生じた場合に、

前年に繰り戻して所得税の還付を受けることができるというものです。

 

この規定も暦年単位課税の例外として、青色申告者に対する優遇規定の一つとなっています。

 

以上がざっくりとした内容ですが、また詳しくお話ししたいと思います。

 

会計, 統計, Excel, ファイナンス, 金融, グラフ, 事業報告

 

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さくさ

 

棚卸資産の評価方法の選定(前ふり:社長の目)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第88号

 

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<前ふり>  

 

以前、友人から、職場の悩み事の相談を受けました。


その友人の職場には、事あるごとに何かと意見(文句、注文)をつけてくる部下の方がいるそうです。

 

その友人が言うには、

その部下の方は不平不満は口にするが、改善案までには至らない、

 

職場全体の新たな取り組み方針について何かと意見をつけてくるが、対策案には至らない、

 

完全に的を外した意見という訳ではないのですが、全体最適の観点からは聞くことができない、他の職場に与える影響を無視することはできない、

 

とのことです。

 

友人としては、


もともとレベルの高い技能があるその方に、本当は、もう一歩引いた視野から考えてもらいたいとのことです。

 

そのために、ぎくしゃくした今の雰囲気をどのようにすれば良いか、


そのような悩み事の相談でした。

 

 


さくさは、その友人に聞きました。

 

「勤務時間外の行事などにも、その方は参加してくれますか?」


(くだらない飲み会の類ではないですよ。イベント行事などのことですよ。)

 

すると、
その方は積極的に参加してくれるとのこと。

 

・職場のことが嫌いというわけではないらしい。むしろ好き。
・仕事から離れた行事などにも積極的に参加してくれている。


さくさはここは重要なポイントだと考えています。


さくさの経験上、

能力の高いこういった姿勢の方には、「こちら側」の一員になってもらうと、うまくいくことが多くあります。


・こちら側の渦に巻き込む。

・今までとは違った視点から見てもらう。

 

すると、かなりの確率で変身してくれます。

 

そのようにアドバイスしました。

 

 

■職場にいる時間、決まった仕事がちゃんと出来れば良いでしょ、オフは自由でしょ。オンとオフの区別は明確に。切り替えが大切。


そういう振る舞い方、身のこなし方を推奨し、”美化” するかのような雑誌の記事を見たこともあるし、それを鵜呑みにしたような話を聞いたこともあります。

 

さくさの価値観は古いと言われるかも知れませんが、


●仕事とオフを“完全に”切り離すような程度の仕事しか出来ない人には大したことを任せられない、と思ってしまうのです。

 

 

「自分が社長」という目で見れば、そうなります。

 


 ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

青色申告者については、所得計算上の特典以外にも、税額計算上の特典や、手続き上の特典などが色々とあります。

 

前回は、青色申告者の所得計算上の特典のうち、棚卸資産の低価法の特例についてお話ししました。今回も少し続けます。

 

棚卸資産の評価方法の選定

 

棚卸資産の評価方法については、青色申告者にのみ低価法を採用することが認められています。

 

低価法とは、原価法での評価額と、低価法での評価額(時価)とを比較して、低い方を採用できる評価方法なので、

 

低価法で評価する際も、まずは原価法で評価することが必要となります。

 

ということで、原価法の評価方法についてお話しします。

 

棚卸資産の評価方法の選定

 

棚卸資産の評価の方法は、居住者の営む事業の種類ごとに、かつ、商品、製品、半製品、仕掛品、主要原材料、補助原材料その他の棚卸資産の区分ごとに選定しなければなりません。

 

個別法
先入先出法
総平均法
移動平均
最終仕入原価法
売価還元法

 

原価法と一口に言っても、このように様々な方法があります。


(一つ一つの詳しい説明は行いませんが、用語からだいたいの想像はつくと思います。)

 

この中から、
自分で評価方法を  “選んでください”、となっています。

 

しかし、

評価方法を選ばない場合や、

選んだ方法と違う方法で計算してしまった場合には、

「最終仕入原価法による原価法」で計算することとなります。


これを「法定評価方法」と呼んでいます。

 

最終仕入原価法による原価法は、文字通り、
最終に仕入れた原価でそれと同じ在庫の全てを評価する方法です。


一番ラクな方法なのです。


直近単価 × 在庫量  以上ですもんね。

 

例えば税務調査の際に修正の必要が生じた場合でも、

煩わしい計算をする必要がないので、

この方法を法定評価方法としているのでしょうね。

 

 

ビジネス, 貨物コンテナ, 箱, エクスポート, 運賃, インポート, 業界

 

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

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さくさ

 

棚卸資産の低価法による評価(前ふり:身銭をきる)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第87号

 

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<前ふり>  

 

さくさは、タダで何かを得ようとすることは、出来るだけしないようにしています。

 

特に、セミナーや講習会の類については、無料のものは出来るだけ行かないようにしています。

 


もっとも、


取引先が開催している無料セミナーなどは、
セミナーとは別のところで通常の取引があるので、


巡り巡って対価のやり取りがされていると”無理にでも考えられる”ことから、
行っても大丈夫だと思っています。

 

 

さくさが気になるのは、

 

・タダのセミナーに行くと、気合が入らない、

 

・タダのセミナーに行くと、気合が入っても、周りの空気が悪い場合がある、

(気合が入ってない受講者に囲まれて沈むことがある。)

 

・タダのセミナーに行くと、それっきりで終わりにくい、

(主催者側からのその後の執拗な勧誘等がある。)

 

このような理由からです。

 

但し、

連載ものや、長期ものには、“お試し”という考え方が根底にあるので、

むしろ無料体験に積極的に行ってみるべきだと思いますが、

 

 

単発もの

 

それなのに、


タダどころが、出席したら、金銭をもらえるとか、〇〇ポイントを受け取れるとかなんて、

論外だと思います。

 


なお、
どうしてもタダのものに行くのなら、

 

丁重に感謝の気持ちを表現したいと思います。

 

「ありがとうございます。」

 

しっかりと言葉で伝えます。

 


職場が、費用を負担してくれるセミナーとか勉強会にも、

さくさはできるだけ避けたいと思っています。

 



自分で決めて、自腹で行きたい。

 


そう、つまりは、

 


「身銭をきる」

 


この感覚が大切だと思っています。

 

 

 ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

青色申告者の所得計算上の特典について、ここしばらく連載モノのように続いておりますが、もうしばらくご勘弁くださいね。

 

青色申告者については、所得計算上の特典以外にも、税額計算上の特典や、手続き上の特典などが色々とありますので、

 

青色申告の話を続けると、その有利性について、少しでも記憶に残っていただけるかと思います。

 

それでは、

今回は、その所得計算上の特典のうち、棚卸資産の低価法の特典についてお話しします。

 

 

棚卸資産の低価法による評価

 

表題をご覧になって、

 

棚卸資産が低く評価されて、何が特典だ!(プンプン)

とお思いの方もいらっしゃるかと思います。

 

それはもっともな話で、自分の商売上の製品や商品が原価よりも低く評価されたら、残念ですよね。

 

低く評価できるのだから “節税だ” なんて言われても、
真っ直ぐには喜べない気持ちですよね。

 

ただ、最終的には”その年分の”税額が早く安く抑えられるという点からは、
一種の救済措置(節税)と呼ぶことができるのです。

 

そういったことから、青色申告者の所得計算上の特典の一つにに数えられているのでしょうね。

 

 

棚卸資産の評価の方法

 

その年12月31日において有する棚卸資産の評価額の計算上選定をすることができる評価方法は、次に掲げる方法(青色申告書の提出をすることにつき税務署長の承認を受けていない場合には次の1に掲げる方法)とする。

 

1. 原価法
2. 低価法

 


このように、青色申告者についてのみ、低価法が認められているのです。



そもそも棚卸資産が必要ないビジネスモデルだとこのような心配はないですね。

 

 

研究, 学校を学ぶ, 教育, 勉強, 本

 

ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

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さくさ

 

個別評価貸倒引当金の繰入限度額(前ふり:盛り塩)

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第86号

 

ご覧いただきありがとうございます。

このブログは、
税金の知識を得ることで安心して事業を行いたい個人事業者の方とその予備軍の方のためのブログです。

 

<前ふり>  


先日、友人から、

 

「そうなると思い込んだらうまくいった。」
「思い込んだ通りの方向に物事が進んだ。」

 

そんな話を聞いて、

 

ふと、

さくさの学生時代のアルバイトのことを思い出しました。

 

さくさはアルバイトでレストランのウエイターをしようと思いました。

 


イタリアンレストランでのアルバイトの採用面接


それは、さくさを採用するかどうかを決めるための面接でした。

 


「〇月〇日以降の出勤で大丈夫でしょうか。」

「シフトは〇〇〇な感じでお願いします。」

「最初の出勤日は何日にしましょうか。」

 

 

 さくさは最初から採用されたと“思い込んで”いたので、

そのようなことを口走っていた ”らしい” です。

 

さくさの話は、採用された後の“打ち合わせ”と化していました。

 

後日、採用面接をしてくれたマスターから聞いたのですが、

 

最初はさくさを採用することはない、と考えていたらしいのです。

なのに、さくさが採用されたと思い込んで、

その前提で話をしてくるものだから、

なんだか調子が狂ってしまって、

”ついつい” さくさを採用してしまったらしい。

 

マスターは、


「仕方がないから採用した。」

 

と言っていました。

 


“思い込み”

さくさは採用されたと“思い込んで”話(面接)を進めていたのでした。

 

 

そして、
そのマスターが、さくさに言ってくれたことがあります。

 

それは、

 

「さくさ君の盛り塩は効く。」

 

ということです。

 


そのイタリアンレストランは繁華街の真ん中にあって、営業時間も深夜から早朝までなので、

お店にとって好ましくないお客さんが来店することが度々ありました。

(実は、商売がレストランだけじゃなかった、むしろレストランは副業だった理由が大きいと思います。)

 

もめ事が発生することも多かったので、店には大男の外国人ガードマンがいたくらいです。

 


盛り塩は店先などでちょくちょく見かけますよね
店の入り口の両側にこんもりと塩が盛ってある光景

 


さくさは、盛り塩は、煩わしい問題が持ち込まれないようにして、品の良いお客さんに来店してもらうためにするものだと

 

“思い込んで”いました。

 


「さくさ君が盛り塩する日には、不思議ともめ事がなくなる。」

 

そのマスターから聞かされました。

 

 

さくさは、間もなく、

 

「盛り塩担当」

 

に任命されました。

 


“思い込み”から現実になることがあります。

さくさの経験上、これはとても大切なことだと思います。

 


  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  ☆☆☆☆☆☆☆  

 

それでは、本題のお話しに移ります。

 

貸倒引当金には、個別評価の貸倒引当金と一括評価の貸倒引当金があります。


一括評価貸倒引当金については青色申告者で事業所得者に対する特有の優遇規定になっていますが、個別評価貸倒引当金は白色申告者についても適用がある規定になっています。

 

前回は個別評価貸倒引当金の概要について少しお話ししましたが、今回はその繰入限度額について触れておきたいと思います。

 

個別評価貸倒引当金の繰入限度額

 

言うまでもなく、現金商売や、前受金商売をするのが債権回収の面からは最適なのですが、

商売によっては、なかなかそうならない場合も多いですよね。

 

取引先(債務者)に次のような事由が生じてしまった場合には、

青色申告者に限らず白色申告者にあっても貸倒引当金の繰り入れが認められていますので、

ざっとご覧いただければと思います。

 

 

個別評価貸倒引当金の繰入限度額は、次の場合の区分によりそれぞれに定める金額となります。

 

1.弁済の猶予の場合


貸金等に係る債務者について、更生計画認可の決定、再生計画認可の決定、特別清算に係る協定の認可の決定その他これらに準ずる事由により、弁済を猶予される場合

 

・・・貸金等の額のうち、これらの事由の発生年の翌年1月1日から5年以内に弁済される金額以外の金額(抵当権等により担保される部分の金額は除きます。)

 

いわゆる“長期棚上げ”の基準です。


5年超の長期にわたる債権については取り立て不能になる可能性が高くなると考えられるために、このような規定になっているといえます。

 

 

2.取り立て見込のない場合


債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続していること等により、その一部に取り立て等の見込がないと認められる場合

 

・・・その一部の金額に相当する金額

 

いわゆる“実質基準”です。


債務超過の状態がおおむね1年以上継続し好転の見通しがないことや、災害が発生したこと又は経済事情が急変したこと等により、貸金の一部について実質的に回収が見込めない場合に適用される規定です。


健全な取引先であっても、災害等により事情が急変して、結果として債権回収が進まない場合が想定されているのでしょう。

 


3.形式的な事由が生じている場合


貸金等に係る債務者について、更生手続開始の申立て、再生手続開始の申立て、破産手続開始の申立て、特別清算開始の申立てその他これらに準ずる事由が生じた場合

 

・・・その貸金等の額(実質的に債権とみられない部分の金額及び担保権の実行等により取り立て等の見込があると認められる部分の金額を除きます。)の100分の50相当額

 

いわゆる“形式基準”です。


法的な手続きが伴っているため、客観性が高く、形式的に繰入が認められているのでしょう。

 


≪参考≫
個別評価貸倒引当金 本文

不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者が、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権で、その一部につき貸倒れその他一定の事由による損失が生じると見込まれるもののその損失の見込額として各年において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、その金額のうち、その年12月31日において計算した繰入限度額に達するまでの金額は、その者のその年分のこれらの所得の金額の計算上、必要経費に算入します。

 

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ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

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