相続時精算課税を選択した場合のデメリット
「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第39号
ご覧いただきありがとうございます。
<前ふり>
日焼けした鼻のてっぺんの皮がうっすらとめくれてきました。
先週末は娘の運動会の応援で、腕と顔が真っ赤に日焼けしてしまいました。ちょっとしたヤケドみたいな感じで。
運動会では、娘の走りに感動しました。一生懸命丸出しの走り方で、全員参加リレーの出番の時には、終盤で足の速い男の子に抜かれましたが、僕は、一切の手抜きをせずに全力を出し切る娘の走りに誇らしさを感じました。
よくがんばったね、ありがとう。
自分の日焼けを見て、誇らしさを思い出します。
さて前回は、相続時精算課税の適用を受けた場合のメリットについて纏めてお話ししました。今回はこれまでお話ししていない内容も加えて、デメリットについても纏めてお話ししたいと思います。
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相続時精算課税を選択した場合のデメリット
1.相続時精算課税選択届出書は撤回できない
相続時精算課税は、届出書を提出したら最後、その届出の撤回をすることができません。
届出書の提出後は暦年贈与の年間110万円の非課税規定が適用されませんので、こんなはずではなかったのに、ということのないよう、よく考えることが必要です。
計画と踏ん切りが大切ですね。
2.相続税が課税される可能性がある
相続時精算課税制度は、相続の開始前までに、財産を2500万円まで贈与税が無税になるように移転することができますが、贈与時の財産の価額は相続税の課税価格に持ち戻されますので、相続時に相続税の発生する可能性があります。
3.税金の負担が増す可能性がある
相続時精算課税適用者が特定贈与者よりも先に死亡した場合には債務控除の適用を受けることができずに特定贈与者に係る相続税の負担をすることになるので、税金の負担が増す可能性があります。
4.贈与時よりも相続時に財産が値下がりしていると相続税の負担が増す
価格変動のある財産の贈与については、”諸刃の剣”ですね。相続税の課税価格に持ち戻される財産の価額は贈与時の価額ですので、価格変動次第で、メリットにもなるしデメリットにもなる可能性があります。
5.小規模宅地等の特例の適用を受けることができない
相続時精算課税による贈与により取得した財産は、相続又は遺贈により取得した財産とならないため、小規模宅地等の特例の対象から除外されてしまいます。
なお、小規模宅地等の特例は、相続人が最小限必要な生活を送れるように、一定の居住用宅地や事業用宅地などについては相続税の評価額が減額される制度であります。
6.物納財産にすることができない
相続時精算課税の適用を受けた財産については、相続時に物納にすることができません。(ちなみに、暦年贈与を採用している場合には、相続開始前3年以内の贈与財産である生前贈与加算の対象財産は、物納することができます。)
いかがでしょうか。相続時精算課税の適用を受けた場合には、たとえ少額の資産の贈与であっても毎年申告する必要があるので、その手間も考えるとそれもデメリットといえるかもしれませんが、毎回きちんと贈与記録をしておけば申告時に慌てることはないでしょう。
ここまでご覧くださいましてありがとうございました。
読者の皆様が世界で一番幸せになることを心よりお祈り申し上げます。
さくさ