株主総会出席者の旅費の取り扱い

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第40号

 

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<前ふり>  

職場の人から淡竹(はちく)を頂きました。淡竹は竹の子とは違って、地面を掘って採集するのではなく、地面の上に生えているものを採集します。竹の子よりも灰汁が少なく、やわらかい食感で美味ですね。そういえば、職場の近くを車で走っていると、それらしきものが道沿いの至る所にニョキニョキと生えているのを見かけました。なんだか欲しい誘惑に駆られてしまいそうです(笑)。

 

 

さて、しばらくの間、相続税・贈与税関係のお話をしてきましたが、ちょっと趣向を変えてみたいと思います。

3月決算法人であれば、早ければ5月、監査法人による会計監査が実施される会社であれば6月には株主総会が実施されることと思います。そこで、株主総会に関係して支出される費用についてお話ししたいと思います。

 

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株主総会出席者の旅費の取り扱い

 

法人が株主総会の開催に際して、株主に旅費を支給する場合の取り扱いは次のとおりです。交際費に該当するか、該当しないかで、その法人の課税所得の計算に影響しますので、その観点でお話します。

 

 

株主総会会場の最寄り駅から会場までのシャトルバスなどの費用

 交際費には該当しません。交通費や雑費等で会計処理を行い、その金額はその法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されます。

 

 

株主総会に出席する株主の自宅から会場までの旅費

このような費用を支出する会社がどの程度あるのかという話にもなりそうですが、同族会社などの元役員で、現在は一線を退いているが現在も株主として影響力が強い方などに対しては、総合的な判断で支給することもあるでしょう。大株主に対しても同様です。

判断に悩みそうですが、懇親や接待、総会対策の要素が含まれるでしょうから、交際費に該当します。一定の議決権を確保して株主総会を無事に成立させるためには必要となるのかもしれませんね。もっとも先に委任状を入手できれば手っ取り早いのですが。

 

 

・総会後に行う懇親会の会場までのタクシー代等

 交際費に該当します。総会後の懇親会は、株主との親睦を深めるための費用に該当しますので、その内容がたとえ交通費であっても、ここは目的で判断し交際費となります。

 

なお、消費税については、国内の交通費は全て、費用を支出する法人の課税仕入れに該当します。

 

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さくさ

 

相続時精算課税を選択した場合のデメリット

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第39号

 

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<前ふり>

日焼けした鼻のてっぺんの皮がうっすらとめくれてきました。

先週末は娘の運動会の応援で、腕と顔が真っ赤に日焼けしてしまいました。ちょっとしたヤケドみたいな感じで。

運動会では、娘の走りに感動しました。一生懸命丸出しの走り方で、全員参加リレーの出番の時には、終盤で足の速い男の子に抜かれましたが、僕は、一切の手抜きをせずに全力を出し切る娘の走りに誇らしさを感じました。

よくがんばったね、ありがとう。

自分の日焼けを見て、誇らしさを思い出します。

 

 

さて前回は、相続時精算課税の適用を受けた場合のメリットについて纏めてお話ししました。今回はこれまでお話ししていない内容も加えて、デメリットについても纏めてお話ししたいと思います。

 

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相続時精算課税を選択した場合のデメリット

 

1.相続時精算課税選択届出書は撤回できない

相続時精算課税は、届出書を提出したら最後、その届出の撤回をすることができません。

届出書の提出後は暦年贈与の年間110万円の非課税規定が適用されませんので、こんなはずではなかったのに、ということのないよう、よく考えることが必要です。

計画と踏ん切りが大切ですね。

 

 

2.相続税が課税される可能性がある

相続時精算課税制度は、相続の開始前までに、財産を2500万円まで贈与税が無税になるように移転することができますが、贈与時の財産の価額は相続税の課税価格に持ち戻されますので、相続時に相続税の発生する可能性があります。

 

 

3.税金の負担が増す可能性がある

相続時精算課税適用者が特定贈与者よりも先に死亡した場合には債務控除の適用を受けることができずに特定贈与者に係る相続税の負担をすることになるので、税金の負担が増す可能性があります。

 

 

4.贈与時よりも相続時に財産が値下がりしていると相続税の負担が増す

価格変動のある財産の贈与については、”諸刃の剣”ですね。相続税の課税価格に持ち戻される財産の価額は贈与時の価額ですので、価格変動次第で、メリットにもなるしデメリットにもなる可能性があります。

 

 

5.小規模宅地等の特例の適用を受けることができない

相続時精算課税による贈与により取得した財産は、相続又は遺贈により取得した財産とならないため、小規模宅地等の特例の対象から除外されてしまいます。

なお、小規模宅地等の特例は、相続人が最小限必要な生活を送れるように、一定の居住用宅地や事業用宅地などについては相続税の評価額が減額される制度であります。

 

 

6.物納財産にすることができない

相続時精算課税の適用を受けた財産については、相続時に物納にすることができません。(ちなみに、暦年贈与を採用している場合には、相続開始前3年以内の贈与財産である生前贈与加算の対象財産は、物納することができます。)

 

 

いかがでしょうか。相続時精算課税の適用を受けた場合には、たとえ少額の資産の贈与であっても毎年申告する必要があるので、その手間も考えるとそれもデメリットといえるかもしれませんが、毎回きちんと贈与記録をしておけば申告時に慌てることはないでしょう。

 

 

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ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

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さくさ

相続時精算課税を選択した場合のメリット

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第38号

 

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相続時精算課税の適用を受けると2500万円まで、それが住宅取得等資金であれば最高で3700万円までが一定の要件のもと、贈与税が課税されることなく直系尊属から直系卑属である推定相続人又は孫に財産の移転が出来るということでした。選択を判断する場面についてはこれまでも少しずつ触れておりましたが、おさらいとしてこの制度のメリットについてお話ししたいと思います。

 

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相続時精算課税を選択した場合のメリット

 

1.2500万円まで贈与税が無税

2500万円までは贈与税が無税となります。しかし、相続税の課税価格に贈与時の時価が持ち戻されますので、相続税が課税される可能性があります。

相続税基礎控除額は3000万円+法定相続人の数×600万円ですので、その範囲内に収まるかどうかを判断基準の一つにすると良いでしょう。

 

2.早期に一時に財産の移転が可能

相続の開始まで待たずに財産を2500万円まで一時に無税で移転することができます。お金が必要な若い世代に一定額までは課税されることなく財産の移転が可能ですね。

 

3.将来値上がりする予定の財産を値上がり前の金額で移転することが可能

相続時に値上がっていると見込まれる財産について、相続時精算課税の適用を受けて予め贈与しておくと、相続税の課税価格に持ち戻される財産の価額は贈与時の価額となるため相続税を低く抑えることができます。

 

4.収益物件を生前に移転しておくことが可能

収益物件から生み出される収益が被相続人に貯まれば、それも相続時に相続税の課税対象となりますが、先に贈与をしておけば、贈与後の収益については受贈者の所得となり、相続税の課税価格に算入しないようにすることができます。例えば賃貸マンションなどが考えられるでしょう。

 

次回は、デメリットの方もお話ししたいと思います。

 

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さくさ

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第37号

 

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前回は住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税の特例をお話ししました。直系尊属から直系卑属である推定相続人又は孫への相続時精算課税贈与について、直系尊属の年齢要件が緩和されて60歳未満であっても相続時精算課税が適用となることや、最高で1200万円の非課税枠が加算されて合計で3700万円までが贈与時に課税されずに住宅取得のための金銭を贈与できるということでした。

前回は、以上のように相続時精算課税の適用という形でお話ししましたが、何も相続時精算課税を適用しなくても、住宅取得等資金の贈与については、単独で非課税規定を適用することができます。この場合、非課税枠を超える部分の贈与については暦年課税とすることとなります。

今回も、贈与財産が住宅の新築や取得、増改築のための資金である場合の特例についてお話しします。

 

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住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

 

父母又は祖父母などの直系尊属からの贈与により、その年1月1日において20歳以上である直系卑属が、自己の居住の用に供する家屋の新築、取得、又は増改築等の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)を取得した場合で一定の要件に該当するときは、次の非課税限度額までの金額について贈与税が非課税となります。

 

≪非課税限度額≫

平成29年度の非課税限度額は、省エネ等住宅用の取得等資金であれば1200万円、それ以外の住宅用であれば700万円です。将来的に消費税が増税されて8%から10%になると、更に非課税枠が増枠される予定です。

 

≪受贈者の要件≫

前回の相続時精算課税の特例とほぼ同じで次の通りです。

・贈与者の直系卑属であること

・贈与年の1月1日で20歳以上であること

・自己の配偶者や親族などの特殊関係者から住宅の取得等をしないこと

・贈与年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて居住用家屋の新築、取得又は増改築を行うこと(受贈者の所有は共有でも可)

・贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると認められること(年末までに居住することが必要)

・合計所得金額が2000万円以下であること

・平成21年から平成26年分までの贈与税の申告で住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用を受けていないこと

 

 

居住用家屋の新築、取得又は増改築等の要件

 

(1)新築又は取得の要件

・日本国内にある居住用家屋であること

・新築、又は取得の場合、登記上の面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ店舗併用住宅等の場合には家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること

 

なお、取得の場合には、次の“いずれかにも”該当すること

・建売新築の居住用住宅であること

・中古住宅は、取得の日前20年以内(耐火建築物なら25年以内)に建築されたものであること

・中古住宅は、地震に対する安全性基準に適合されると証明されたものであること

・中古住宅は、耐震改修を行うことについて都道府県知事などに申請し耐震改修工事が行われたことの証明がされたものであること

 

 (2)増改築の要件

・日本国内にある居住用家屋であること

・増改築後の登記上の面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ店舗併用住宅等の場合には家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること

・増改築工事は自己所有の居住用家屋に対して行われたもので、一定の工事証明がされたものであること

・増改築の工事費用が100万円以上であること

 

 

住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用については、あくまでも“金銭”の贈与であることが前提です。有価証券、金の延べ棒などを贈与するのであれば、くれぐれも事前の換金をお忘れなく。

 

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ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

読者の皆様が世界で一番幸せになることを心よりお祈り申し上げます。

  

さくさ

住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税の特例

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第36号

 

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相続時精算課税制度は、特別控除額の2500万円までは贈与税が課税されることなく60歳以上の直系尊属から20歳以上の推定相続人又は孫に対して生前に財産を一時に移転するのに有効な制度であることをお伝えしてきました。

使い方は色々あるのですが、相続税の課税価格に持ち戻す金額が贈与財産の贈与時の価額となっているため、将来に価値が上がる物件を現在の安いうちに予め贈与しておくことや、賃貸用不動産などの収益物件を早いうちに贈与しておくことで、将来的・全体的な節税につなげることが可能となります。

今回は、移転財産が住宅取得や住宅の増改築のための資金である場合の相続時精算課税の特例についてお話しします。

この制度は租税特別措置法なのですが、これまでに何度も延長を行ってきた制度であります。高齢化が進展するなか、高齢者から購買層である若者へ早期の財産の移転を通じて景気浮揚を図りたい政府と、関係業界との思惑が一致している結果なのでしょうね。

 

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住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税の特例

 

父母又は祖父母からの贈与により、自己の居住の用に供する家屋の新築、取得、又は増改築等の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)を取得した場合で一定の要件に該当するときは、贈与者である父母又は祖父母がその年1月1日において60歳未満であったとしても、相続時精算課税の適用を受けることができます。

 

更に、最高で1200万円までの非課税枠が与えられ、相続時精算課税の特別控除額2500万円との組み合わせで、最高3700万円までの贈与が非課税となります。

 

この場合の受贈者の要件は次の通りです。

・贈与者の直系卑属である推定相続人又は孫であること

・贈与年の1月1日で20歳以上であること

・自己の配偶者や親族などの特殊関係者から住宅の取得等をしないこと

・贈与年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて居住用家屋の新築又は増改築を行うこと(受贈者の所有は共有でも可)

・贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なく居住の用に供することが確実であると認められること(年末までに居住することが必要)

・合計所得金額が2000万円以下であること

 

住宅取得等に係る特例については規定が多くありますので次回以降も引き続きお話しします。

 

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さくさ

相続時精算課税選択届出書の提出の承継

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第35号

 

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今回も相続時精算課税に関する規定を紹介いたします。特定贈与者が死亡するまでは相続時精算課税に係る相続税額の計算は行われないため、相続時精算課税適用者の相続人は特定贈与者が死亡した時になってはじめて特定贈与者の死亡に係る相続時精算課税適用者の相続税の申告を行うことになりますが、それまでの間は相続時精算課税適用者の特定贈与者からの相続税額が納付になるのか還付になるのかが確定しないため、相続時精算課税適用者の死亡に係る相続税額の計算上、その相続人は債務控除の適用を受けることが出来ないということでした。これはつまり、特定贈与者よりも先に相続時精算課税適用者が死亡した場合には相続時精算課税適用者の相続人の税負担が増えることを意味しています。

今回は、相続時精算課税適用予定者が相続時精算課税選択届出書を提出しないで特定贈与者よりも先に死亡した場合に、暦年贈与として課税されないための規定をお話しします。

 

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相続時精算課税選択届出書の提出の承継

 

贈与により財産を取得した者(被相続人)が相続時精算課税選択届出書を提出できる場合において、その被相続人が相続時精算課税選択届出書の提出期限前にその届出書を提出しないで死亡したときには、その被相続人の相続人(包括受遺者を含み、特定贈与者を除きます。)は、その被相続人の相続に係る相続税の申告期限(その相続の開始があったことを知った日の翌日から10月を経過する日)までに相続時精算課税選択届出書を提出することができます。

 

この場合、相続時精算課税選択届出書の提出先は、被相続人の納税地の所轄税務署長となり、その被相続人の相続人が“共同して”提出する必要があります。

 

暦年贈与では110万円までの非課税枠が使えますが、これを超えると高額な贈与税が発生する可能性がありますので、相続時精算課税適用予定者の相続人はその予定者の死亡後においても相続時精算課税選択届出書の提出をすることができるようにしているのですね。

 

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さくさ

相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第34号

 

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一度選択するとその後は暦年課税に戻すことが出来なくなる相続時精算課税の選択ですが、相続時精算課税に係る贈与者(特定贈与者)よりも先に相続時精算課税の適用者が死亡した場合には、納税義務がどのような取り扱いになるのかを見ていきます。

 

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相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継

 

相続時精算課税に係る贈与者(特定贈与者)よりも先に相続時精算課税の適用者が死亡した場合には、その相続時精算課税適用者の相続人(注:包括受遺者も含みますが、特定贈与者本人は除きます。)は、その相続時精算課税適用者が有していた相続時精算課税に係る権利又は義務を承継します。

 

相続時精算課税適用者の相続人(注)が複数人いる場合には、民法の規定による相続分(特定受遺者が相続人にいないものとして計算した相続分)の割合に応じて、相続時精算課税に係る権利又は義務を承継します。

 

相続時精算課税適用者の相続人が特定贈与者のみであった場合には、相続時精算課税に係る権利又は義務は消滅します。

 

 

特定贈与者が死亡するまでは相続時精算課税に係る相続税額の計算は行われないため、相続時精算課税適用者の相続人は特定贈与者が死亡した時になってはじめて特定贈与者の死亡に係る相続時精算課税適用者の相続税の申告を行うことになります。

それまでの間は相続時精算課税適用者の特定贈与者からの相続税額が納付になるのか還付になるのかが確定しないため、相続時精算課税適用者の死亡に係る相続税額の計算をするうえで、その相続人(注)は債務控除の適用を受けることができなくなります。

 

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さくさ

相続時精算課税選択届出書の効力

「サラリーマン税理士さくさの納税のすすめ」第33号

 

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前回は、相続税が課税されないような方について、贈与税が極力課税されることなく生前に一時に財産を推定相続人に移転する方法として、相続時精算課税の選択が有効であるとお伝えしました。相続時精算課税を選択するには贈与者ごとに相続時精算課税選択届出書の提出が必要となりますが、今回はこの届出書の効力ついてお話しします。

  

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相続時精算課税選択届出書の効力

 

・相続時精算課税の適用者は相続時精算課税選択届出書を撤回することが出来ません。一度選択すると、その後は暦年課税に変更することが出来なくなります。選択した年分以降は、相続時精算課税に係る贈与者とそれ以外の贈与者で区分して、受贈した財産について贈与税額を計算することが必要となります。

 

・相続時精算課税選択届出書に係る贈与者からの贈与により取得する財産については、その届出書に係る年分以後、その贈与者が死亡するまで相続時精算課税が適用されます。

 

・年の中途において養子縁組などにより推定相続人に該当するようになった場合には、その該当することとなった前後において、暦年課税と相続時精算課税とを使い分けることとなります。推定相続人になる前に贈与により取得した財産については相続時精算課税は適用されません。

 

・相続時精算課税を適用している者が、養子縁組の解消などにより相続時精算課税選択届出書に係る贈与者の推定相続人でなくなった場合であっても、その贈与者からの贈与については引き続き相続時精算課税が適用されます。

 

以上の通り、相続時精算課税選択届出書は、単に“届出書”といっても、とても効力の大きな届出書ですので、提出前には計画をきちんと作成し、じっくりと考えることにしましょう。

 

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ここまでご覧くださいましてありがとうございました。

 

読者の皆様が世界で一番幸せになることを心よりお祈り申し上げます。

  

さくさ